夜とは思えないほど明るい月光が降り注ぐ中



二人は肌を重ねる。



頬を紅潮させ呼吸を乱すアネルマに、シェイラは何度も口づけを落とす。



唇から、首筋を辿り、鎖骨をなぞる。



普段の真っ黒な衣装に反し、夜の彼女は、月の力も借りて一際肌を白く輝かせる。



その滑らかな上をたどるシェイラの手。



繰り返される愛撫に、アネルマはもう限界と言うように声を上げる。



力が抜け、くたりと横たわる彼女の唇に最後のキスを落とし、その日の情事は終わった。








「ねえ、シェイラ」



「ん?」



キングサイズのベットの上でゆったりと寝転んでいると、アネルマが不満そうに頬を膨らませていた。



「どうして、最後までしてくれないの?」



突然の発言に、何の事を言っているのか分からず、キョトンとするシェイラ。



しかしすぐにその意味を理解する。



「私は最後までして欲しいのに......シェイラはいつも、私をいかせてそれで終わり。私ってそんなに魅力ないかしら」




ようするに、

シェイラとアネルマが夜を共に過ごす時、肌を重ね口づけを交わすことはあっても、シェイラはけしてその先に進もうとしない。

その事を彼女は不満に思っているという事らしい。




シェイラは目を丸くする。



普段の、自信に満ち溢れた強気な彼女からは想像つかないほど、らしくもなく不安そうな表情だったから。



「好きな人との交わりを望んでない女なんていないわ。私はとっくに覚悟できてるのに...ねえ、本当に私のこと好き?他の誰かのこと考えてない?」



戸惑うように揺れる彼女の瞳は、恋する乙女のそれだった。