「俺は大園密(ひそか)という女性にとても魅力を感じている。

顔色一つ変わらないから能面顔なんて呼ばれてるけど、

声を掛けるとに微かに指先が震えるほど緊張してのを見ると可愛くて抱きしめたくなる。

俺はロマンス小説に出て来る王子様でも御曹司でも大きな会社の跡取り息子でもないけど

リアルな恋を俺とひそかに始めてみないか?

まぁー俺はぶっちゃけ大ぴらに交際宣言しても全然構わないけど。

どうせなら結婚式の招待状を配って皆を驚かせるのも面白そうだよな?」

中村課長は告白は意外なもので嬉しくはあったけど、ちょっとおちゃらけ気味なのがマイナス要素。


交際のその先に”結婚”もあるのかと思ったらにわかに緊張もしてくるってものだ。

「私はまだ中村課長のこと良く知りませんが、課長の事をもっと知りたい……

でも会社の皆にお付き合いの件は”秘密”でお願いします」

『あぁー言ってしまった……』

”ボン”と音が出そうな程に赤くなってしまったであろう私の全身。

「あの、今日はもう帰ります」

急いで部屋を出ようとした私を掴まえる中村課長。

「折角迎えに来たのに帰す訳ないでしょ?

今日は何もしないから一緒に俺の部屋に行こう

それからプライベートでは課長は禁止。

下の名前で呼んで……」

「・・・」

そう言われて固まった私は中村課長の下の名前を知らない。