「おいちび」




「…何?」




「彼方今日ワックスつけてる?」




「…いつもだけど」




全国の皆様!




聞きましたか!




肥山君は髪にいつもワックスをつけているそうです!




また情報げっと!




「どんくらいつけてんの?」




あちらから話し声が聞こえますの!




いわゆるこれは盗み聞きってやつ!




「少しだよ」




「だよな」




肥山君と日高君は仲がいいんです!




あ…




それからひとついい忘れましたことがありまして。




さっき目を疑ったのではと思うが、




実は肥山君はクラスの男子で一番背が低い。




何センチかって?




聞いてみよーっと。




「肥山君!」




「…ん」




「肥山君に質問です」




「なんですか…」




「肥山君は身長何センチですか?」




「164」




きゃあ!




教えてもらったぁー!



「肥山君ありがとう!私絶対一生覚えておくから!あと私は身長低くたって気にしないよ!」




「未苑が小さいからな」




突っ込んできたのは日高君。




「小さくないよ!」




「身長なんセンチ」




「えっ!肥山君私の身長知りたいの!?」




「いや。興味ね」




「うっそつけー」




私は肥山君をバシッと叩く。




「痛いんだけど」




「えへー?」




正直あんまり話を聞いていない私。




嬉しすぎて言葉が読み取れられない。




「結局なんセンチなんだよ」




日高君がなぜか怒りっぽく言う。




まあそう、早まるな。




「ふふへ、聞いて驚いては困るぜよ」




「「…は?」」




な!




二人ともなんだいなんだい!




そのバカにした顔は!




「実は私、身長伸びましてね、」




うへっと笑う私。




そんな日高君は通りすがりの雅ちゃんにこう言った。




「…あ雅、未苑って身長なんセンチ?」




「え?149だけど」




「がーん」




あ、心の声が…




「ちっさ!ありんこなみじゃん!」




日高君がバカにしてくる。




「ありんこはもっと小さいですから!もー、雅ちゃんも言わないでよー」




「ごめんごめん、つい」




「にしても150もないとはな」




「あと1センチしか変わんないじゃん!」




「1センチもだよ、未苑の場合は。なぁ彼方?」




肥山君…




「あ、いや…いいと思うよ」




「え?」




肥山君?




「俺は小さいの好きかな」




「…。ええええぇぇぇー!!!」





「るせーよ、」




日高君なんてムシムシ。




それよりい、今なんと!?




肥山君が好き!?




まさか肥山君の口からそんな言葉がでるなんて!!




今日はなんてハッピーな日かしら!




「あ…でも」




「へ?」




肥山君は付け加えて




「あんたは嫌いだけどね」




と、そう言った。




あの、最後の最後は聞かなかったことにしていいですか?




聾になっていいっすか!