嵐の視線が彗から隣の百合へと移る。


「お前は小松の母親かよ? いいよなぁ小松は。いつもいつも所に守られて、自分はただ泣いてるだけなのによぉ」


「そんな言い方ないでしょう!?」


春姫が嵐を睨みつける。


いけない。


これ以上エスカレートすると正常な判断ができなくなる。


「この状況で喧嘩はよくない!」


女子たちと嵐の間に立ち、俺は言った。


しかし、嵐は険しい表情を崩さない。


「よく考えてみろよ。彗が犯人だとすれば、自分に疑いがかからないようにするはずだ。


なのにこの部屋は彗の台所とそっくりそのままだ。その時点で彗は犯人じゃないと俺は思うんだ」