俺は悠の鼻に手を当てた。


普段は空気を吸い、そして吐き出しているその場所から、空気が出入りしている気配はなかった。


「息をしていない……」


俺は小さく呟く。


悠から顔をあげると、泣きそうな彗と目があった。


「なんだよ、息をしていないって……死んでるのかよ!?」


「うそでしょ……?」


「冗談じゃないよ! 僕はもう帰りたい!」


「……彗」


百合が彗の名前を呼び、全員の視線が彗へと向けられた。


「あ……あたしじゃ……ない!! あたしなにもしてないよ!! あたしじゃない!!」


ブンブンと強く首を振り、後ずさりする彗。