悠は目玉焼きの黄身の部分にスプーンを突き刺した。


半生の黄身が溢れ、ドロリと白身の上にかかる。


悠は突き刺したスプーンを一度引き抜き、黄身のかかった白身に突き立てた。


コンパスを操るように、スプーンをクルッと一回転させ、白身を丸くくりぬく悠。


「いただきます」


そして、それを口に運んだ……。


その時だった。


「いってぇ……」


という男の声が聞こえてきて、俺たちは同時に振り向いた。


見ると、ドアの前で倒れていた嵐が目を覚まし、上半身を起こしている。