「待ってよみんな。この声の言っている事を信じるつもりなの?」


春姫が慌てたようにそう言う。


「料理して食べたら部屋の鍵が開く? バカバカしい!」


青い顔をしているが声を荒げ、険しい表情を作る。


「春姫、今は声の言う通りにしておいた方がいいかもしれない」


俺は春姫の感情を鎮めるように、ゆっくりとそう言った。


「みんな、これを見てくれ」


俺はドアの前まで移動し、突起物の前に手をかざした。


すると俺の手のひらに赤い光線がうつる。


そして手のひらを上下させると、光線もそれと同じように上下して動いた。


「なに、それ……」


百合が俺を見て聞く。


「わからない。けれどこれが嵐を傷つけたんだと思う」