「彗と良も、こっちにおいでよ」


百合が声をかけると、後ろにいた2人が「なになに?」と、こちらへ向かってきた。


小松彗(コマツ スイ)と、永井良(ナガイ リョウ)。


2人とも小柄で、彗は女子の中で一番背が低く、良は男子の中で一番小さく、そして横には大きかった。


「おいおい、ドタドタ走ってくるなよ。船が沈むだろうが」


良の足音に嵐がチッと舌打ちをして言った。


「ご、ごめん」


嵐に睨まれてひるむ良。


「こらこら、ここまで来て喧嘩はなしなし」


俺はそう言い、2人と肩を組んだ。


「ご、ごめん」


良はまた謝る。


嵐もこの場の雰囲気を壊したくないのか、なにも言わなかった。