「言った言った。はるりん、ほらあそこ!」


百合がポニーテールを揺らして頷き、そして海を指さした。


小学校の頃からの幼馴染という2人は特別仲が良いので、みんなとは違う呼び方をしている。


そこには何頭かのイルカが泳いでいて、背中が光って輝いて見える。


「本当だ! すごい!!」


春姫は大きな目を更に大きく見開いて、身を乗り出す。


「そんなに身を乗り出すと危ないよ?」


後ろからそう声をかけてきたのは山岡悠(ヤマオカ ユウ)。


この船を出してくれたのが悠だ。


悠の家は日本で有名な大企業で、今回の卒業旅行も悠の提案で開かれることになった。


「あぁ、うん。ありがとう悠」


春姫は身を引っ込めてまた海へと視線をやった。