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1人教室に残った俺はジッと月奈の机を睨み付けていた。


あの女、何をするつもりだ。


俺のやったことを公にするつもりか?


そう思うとシャーペンを持つ手にジットリと汗がにじんだ。


現場は月奈にしか見られていないが、証拠ならいくらでもある。


相手の男の傷も、財布についている指紋も、俺が犯人だと特定するのに十分だ。


俺はグッと奥歯をかみしめていた。


クソ!


あの女にさえ見られていなければ……!


どうにかできないだろうか。


あんな小娘1人のために進路を奪われるなんてごめんだ。


だけど月奈は少し脅した程度でひるむとは思えない。


なにかが必要だ。


あいつを黙らせるためのなにかが……。