結局俺は奪った金で『Bird』の新作を数着買う事ができた。


ほらみろ。


他人の金で買い物をするのはこんなにも楽なんだ。


月奈の言いたいことも理解できるけれど、俺はとにかく服が買えたことで満足していた。


でも……。


その翌日から月奈が俺を射るような目で見始めたのだ。


他のクラスメイトと一緒にいる時、月奈はいつものように穏やかな笑顔でいた。


でも、俺と目が合うとその時だけは表情を変えたのだ。


まるで、俺の事を見下しているような顔。


細められた月奈の目は俺のすべてを見通しているようにも感じられた。


まさかあいつ、誰かにあの時の事をバラすつもりじゃないだろうな。


そんな予感が浮かんだのは、数日後の放課後の事だった。


この日、俺は課題の提出が遅れて居残りをしていた。