「百合、大丈夫か?」


「うん。まだ歩ける。彗は?」


俺たちの後ろをゆっくりと付いてくる彗へ振り返る。


彗は良と並ぶようにして歩いてきていた


「あたしも大丈夫。早く行こう」


雨に急かされるようにして速足になり、次第に会話は途切れて行く。


薄暗い森の中をさまよっているような感じだ。


歩きながら、俺は百合の手を更に強く握りしめた。


島に付いて30分ほど歩いた時、ようやくその建物が目の前に現れた。


「でけぇな……」


嵐が建物を見上げて言った。