ドアを開けると、そこは狭いダイニングキッチンだった。


キッチンスペースは2畳か3畳かほどしかなく、全体を見ても10畳に満たない広さだ。


背の低い小さなテーブルに、小型テレビ。


食器棚はなく、本棚の中に1人分の食器が並べられているだけだった。


その中でやけに目をひくのは、壁にかかったカレンダーだ。


通常のカレンダーの倍の大きさはあるように見える。


「ここは俺のキッチンだ」


そう言ったのは嵐だった。


嵐は荒い呼吸を繰り返し、テーブルの前にドカッと腰を下ろした。


「嵐、大丈夫か?」


「あぁ。なんとかな」


クッションで傷口を覆ったままだから出血量がわからないが、嵐の額には脂汗がにじんでいる。