俺は椅子に座り、細かく砕けていくグラスを見つめていた。


最初はミキサーの中でぶつかり合いガチャガチャと音を立てていた破片は、すぐに小さな集団となり白っぽく見え始めた。


更にミキサーにかけていると、ほとんど粉状に変化していた。


これなら口内への負担は小さいかもしれない。


でも……。


もし、血がでなかったら?


それはかき氷として成立しなくなるんじゃないだろうか?


「止めろ!」


俺は思わず大きな声でそう言っていた。


春姫が慌ててミキサーのスイッチを切る。


「どうしたの、拓夢」


百合が驚いたように俺を見た。


「あまり粉状にしない方がいいと思うんだ。ほら、見た目が氷から離れていくだろ?」


心配かけないよう、俺はガラスの見た目を指摘した。