そう思い拳を握りしめたとき、部屋にジジッという雑音が響いた。


全員が息を飲み、静かになる。


《みなさまお待たせしました。それではステージ3を始めます》


いつもの女性の声が響く。


春姫は今にも泣きだしてしまいそうな顔をしている。


百合はそんな春姫の手をギュっと握りしめた。


《角川春姫がかき氷を作り原正拓夢が食べなさい》


自分の名前が出て来た瞬間、俺はビクッと体を震わせた。


体中から嫌な汗が流れていくのを感じる。


「かき氷……?」


春姫が小さく呟く。


しかし、今回はそれだけだはなかったのだ。


《ステージ3からは30分というタイムリミットを設けます》


その音声に、俺は目を見開く。


「タイムリミット……?」


百合が小さく呟く。


《30分内に指定されたものを食べきることができなければ、この部屋に毒ガスを充満させます》


声がそう言うと同時に、天井から音が聞こえて来た。


咄嗟に真上を見上げる。


すると、白い天井の一部がゆっくりと左右に別れ、鉄の網が現れたのだ。