そう言い、嵐は彗に視線を戻した。


「まぁ、小松からすれば俺は最低な男で終わったけどな」


そう言っている嵐が嘘をついているようには見えなかった。


そうか。


だから俺と良がコソコソと会話をしていても気が付かず、彗に気を取られていたんだ。


おかげで計画は無事に終わったけれど。


その時、百合の「できたよ」という声が聞こえてきて全員の視線がキッチンへと移った。


百合の手には白い丸皿があり、そこには赤く染まったご飯が乗っている。


泣いていた春姫がゆっくりと立ち上がる。


ご飯を染めている赤が何であるか、もうすでに全員が知っていた。


それでも、春姫はこれを食べなければいけないのだ。


春姫が鼻をすすりながら椅子に座ると、百合がその前に『チキンライス』とスプーンを置いた。


熱された血肉の匂いは部屋中に充満していて、それだけでも十分に気分が悪くなる。


しかし、春姫は躊躇することなくスプーンを手に取ったのだ。