俺は嵐につけられている手錠を手早く外した。


「くっそ……いてぇな……」


なんとか上半身を起こし、体をしかめる嵐。


「だろうな。でもすごいよお前、こんな状況で意識が飛ばないなんて」


「あぁ。相当やばかったけどな」


そう言い、嵐は口角を上げて笑った。


その視線は俺を通り越して、真っ直ぐにソファへと向かう。


「……小松は……死んだのか?」


「……あぁ。残念だけど」


「そうか……。拓夢、肩をかしてくれ」


「あ、あぁ」


嵐は俺の肩につかまるようにして立ちあがり、ゆっくりとソファへ向かって歩き出した。


歩くたびに傷口から血が流れ出し、ポタポタと床に落ちていく。


ほんの少しの距離を移動するのに、嵐の呼吸はひどく乱れていた。


それでもなんとかソファまで移動した嵐は、彗の隣に腰を下ろした。