この恋、きみ色に染めたなら












『山科先輩……本当にごめんなさい……』







私はそれだけ言って、その席を離れようと一歩を踏み出す………


















『…………紗希………』





少し離れた距離に、私の名前を呼ぶ、成田先輩ー………






成田先輩の顔を見た瞬間、全身の血の気が引いていくのを感じた。















『………紗希ちゃん?』





私が固まって動かない様子に気が付いた山科先輩が立ちあがり、私の名前を呼ぶ。






そんな山科先輩の姿を捕えた成田先輩の顔が強張り、そんな成田先輩の顔を見た山科先輩は驚いているのか何も言葉を発しなくて……






ただ、静かな時間だけがその場に流れる。








私にとっては緊張と不安が入り混じった、そんな時間ー……















『へー。学校外でも会うくらい仲が良かったんだね』






そう言う成田先輩の顔には表情がなかった。











『………こ、これはその………』





言い訳……




も、ないよね………






成田先輩、確実にこの場面を誤解して………













『あ、俺が無理に誘っただけですよ?

 俺、今日が誕生日だったんで、無理矢理紗希ちゃんを連れ出して、それでここに来ただけなんで、紗希ちゃんの意志で来たわけじゃないですから』







山科先輩がフォローなのかそう言うも、成田先輩はフッて鼻で笑う。



でもその視線は山科先輩も私も映していなくて、ただ斜め右下に向けているだけ……














『紗希、ちゃんとお祝いしてやれよ?』






視線を私に向けたかと思うと、成田先輩は周りの空気を一瞬で凍らせてしまうんじゃないかって言うくらいに冷めた声でそう言った。