『比呂……私、比呂のこと、本当に大好きだった……。
本当に大好きだったんだよ……だから……比呂はこういうことしないでよ……』
私の言葉に比呂の腕の力が一瞬弱まる。
私は顔を比呂の胸元から離し、比呂を見つめる。
私の視線を感じた比呂は、眉間にしわを寄せ、そして私を見つめる。
『……紗希……どういう意味……?』
『比呂のこと、誰よりも大好きだった……。
だから別れても、比呂のこと怨んだり……嫌いになりたくないの……。
……比呂と過ごした時間も、比呂への想いも綺麗な思い出にしたいの……。
だから……離して……。私、成田先輩のところに行きたいの……』
比呂、私、誰よりも比呂のことを好きだった。
二人で笑い合った日々も、二人で作った想い出も、その全部をいい想い出のままにしておきたいの……
だから………
『……今、あの人の所に行って、それでどうするの?
紗希の片想いなんだろ?あの人は妬いたり、不快な思いなんてしない……。
だったら…あの人のところに行ってどうすんだよ…?』
比呂の言うとおり。
先輩は嫉妬さえしてくれない…
あの場所でただ見ているだけだよ……
けどね…?
私が嫌なんだー…
『今…私は成田先輩のことが好きなの…。
成田先輩だけに“好き”って言いたい…。
成田先輩に私の先輩への想いを誤解されたくない……。
私が嫌なの、先輩以外とこんなことをしてるのも……。
ごめん…ごめんね、比呂……。
私……ずっと片想いのままでも……それでも私は先輩を好きでいたい、先輩の傍にいたいの……』
もう泣き叫ぶ、のような感じに近かったかもしれないー…
私の言葉を聞いて、比呂はその手の力を緩めた。

