私はそのまま比呂に手を引かれたまま、中庭にやってきた。
『………ここ……』
ここは私と比呂がよく話をしたところ。
比呂とのお付き合いが始まったところ。
どうして今頃、こんな場所に連れてくるの…?
『紗希、もう俺とは話したくはない、とか思ってるよな…
けど、こうやって話す時間をくれて、サンキューな…』
比呂はそう言うなり、私と向き合うように体の向きを変えてくる。
再び、私は比呂の視線に捕まるー…
『紗希、俺……。
お前と別れたこと、すっげー後悔してる。
俺が紗希をフッたはずなのに、俺、お前のことが忘れられねー…』
比呂の目は強いくせに、
どうして今はこんなにも弱々しい目なの……?
いつもはもっと余裕綽々な態度じゃない…
どうして今日はこんなにも弱々しいのよ…?
けど、比呂が私をフッたんじゃない……。
“他に好きな人ができた”って、意図も簡単に私のこと、“用済み”って言ったじゃない……
『比呂……冗談、だよね…?
だって、比呂…“用済み”って言ったじゃない……私のこと…。
なのに今更、忘れられないとか言われても……意味分かんないよ……』
なんで?
どうして今更、比呂がそんなこと、言うの?

