『……あ、HR始まる』
変な緊張感で声が震える中、私が発した言葉。
『すぐ終わらせるから。』
すごく真剣な瞳で比呂がそう言う。
すぐ終わらせる、って言っても…
比呂と話すことなんか、私にはない…
『……ごめん。早く行かないと私の担任、すぐ遅刻扱いするから……』
私はそう言い、踵を返し、教室の方へと足を動かす。
でもすぐに比呂の手が伸びてきて、私の腕を掴む。
『……頼む。俺の話を聞いて』
比呂の顔はすごい不安そうだった。
こんなにも心細い顔を見せる比呂は初めて見る。
『……紗希』
最後に比呂に名前を呼ばれ、何故か私は“分かった”と言ってしまった。
元彼、だから?
一度は本気で好きだった人だから?
この人だけ…そう思っていた人だから…?

