この恋、きみ色に染めたなら




理由、もし他にあるのならば、それはどういう理由だろう。





『私から話してもいいんだけど。

 まぁ…あのバカから聞いて?』



佐伯由香利さんはそう言うと、私の元から離れ、もう遠くまで歩いていってしまった比呂に向かって走り出す。



そして追いついた比呂に声をかけ、2人は何か議論を展開し始めた。




……えっと。私はここにいた方がいいんだろうか。




迷っているうちに佐伯由香利さんを残し、比呂だけが私の元に歩いてきた。




……これは、この雰囲気は、比呂の話を聞く…という感じ…なのかな…。




でも今更、比呂の想いを聞かされても、比呂が別れを選んだ理由を聞かされても、それでも私の想いは変わらない。





『………紗希。』



少し離れたところで立ち止まり、比呂は私の名前を呼ぶ。



あぁ…私が大好きだった、比呂の声だ-…


低くめ、けれど甘くて、どこか人を酔わせるような、比呂の声…




さっきも比呂の声を聞いたはずなのに、佐伯由香利さんから聞いた言葉が頭の方で繰り返される度につい意識してしまう。






『紗希、ちょっといい?』




比呂がそう言った時、HRが始まるチャイムが鳴り響く。