『そんで!?そんでその後は二人で映画を観たの!?』








私よりも学校に来るのが早い凪。




凪は私を見つけた瞬間に質問責め。




私は昨日のことを7割程度で凪に報告、返答していた。




そして一番最後の質問が“その後は二人で映画を観たのか”ってこと。












『………うん。』




私が答えると、凪は更に身を乗り出して聞きたいオーラを向けてくる。










『先輩は座席に着くなり、映画を真剣に観始めて…。私もその隣で観た…』








『……え、普通に?』







『……先輩は…うん、普通だったかな……。

 私は…なんか微妙だったけど……』





凪にそう言い、私は自分の椅子に腰かける。











結局、あの映画ー…



私は途中から観れなくなっちゃったんだよね…







主人公が想いを寄せている男の子の好きな人が亡くなった場面で、ふと隣に座る先輩の顔を見たら、紗季さんが亡くなった時のことを思い出したのか、とても辛そうな顔をしていて…





その苦痛に歪むような顔を見ていたら、主人公の恋の行方とかどうでもよくなっちゃって…









『…………はぁ………』




思わず昨日の先輩の顔を思い出すと、ため息が出てしまう。








やっぱり、あの映画を先輩と観に行ったのは失敗だった。













『でもさ、成田先輩。

 よく映画に付き合ってくれたよねー』








『……きっと思い出させちゃったよね……はぁ……』








『でも先輩だって分かってたでしょ?』







『…分かってた?』




私はそう言いながら首を傾げた。