『へー。
女子が大好きな“純愛”ね…』
先輩はあまり興味のなさそうな態度で答える。
『俺は“純愛”なんて存在しないと思うけど。
紗希が見たいなら付き合ってやるよ?』
先輩はそう言って、足を動かし始めた。
『……え!』
先輩の言葉はとっても嬉しいし、先輩と映画を観に行きたいという気持ちもある。
けど…先輩はこの作品の内容を知っている訳じゃない。
『……先輩。先輩の言葉、とっても嬉しいですけど…。
凪と…あ、友達と観に行ってきます…』
先輩の背中にそう言い放つと、先輩はくるりと体ごとこちら側に向けた。
『今日は紗希へのご褒美だろ?
紗希が楽しめることで楽しんでもらった方がいいじゃん』
先輩はスタスタと私のところまで戻り、そして私の手を引く。
『ほら、行くぞ』
先輩の顔はまるで何か新しい悪戯を見つけた時の子どものようで。
私はその手にひかれるまま歩き出す。

