この恋、きみ色に染めたなら







『……だって、紗希。

 先輩のことが好きなんでしょ?

 だったら…だったらなんで代わりになるとか言うの?

 だって、好きな人には自分を見て、自分を好きになってほしいものじゃん……』










そう、そうなんだよ、凪ー…




それが普通だよね、それが普通の考え方。






だけどね、凪。


それは自分が一生懸命想っていれば相手の気持ちも変わってくれるかもなんて思っていられる、その時まで。






先輩はね、二度と紗季さんを忘れない。


二度と紗季さん以外の人を心に入れたりしない。








勝てない、振りむいてもらえない、届かない、叶わない、そんな言葉しか出てこない恋は、諦めるか、もしくは例えどんな姿になろうと思い続けるかのどちらかしかないー…











『凪、私だって先輩に私を見てほしいって、私の事を想って名前を呼んでほしいとか思うよ…?

 けどね……無理なの、亡くなった人がライバルなんて絶対に勝てっこない…。

 先輩の恋の結末なんて先輩にしかつけられない……でもその先輩が公言しているの、紗季さんを忘れた日はなかったって………これからも紗季さんしか想わないって……。

 すっごく好きになっちゃった人が……すっごく好きになっちゃった人にそう言われて、“はいそうですか、じゃ諦めます”なんて言えない……。


 そんな風に簡単に気持ちを割り切れられないよ……そんな簡単に諦めるなんて……私には無理……だから………こうするしか…ないんだよ……』








凪にそう言いながら、頬を流れていく生温かい雫ー…






『……代わりでもいい……それでもいいから、先輩の傍にいることを選ぶしか……私には出来ない……。

 どうしようもないくらい……どうしようもない程、好きになっちゃったの……先輩の事……』








もう戻れないくらい、


もうとめられないくらい、


先輩が好き、なのー…。