この恋、きみ色に染めたなら





『お前、本当に男運ないのな…。

 てか自分からわざわざそういう風に選択してるんだもんな…本当に馬鹿な女…』










先輩はそう言う。



けれど、“それでも俺はだめだ”とは言わない。



なんの希望も期待もない、ただ先輩は私に同情して言わないだけ。



それでも私はその言葉が出てこなかったことにとても安心していて、そして少しだけ悲しかった。














『そうですか?

 確かに一生叶うことはない恋でしょうね。

 一生想ってもらえることなんてない、そんな恋。

 でも、誰かを一生かけて好きでいられる恋もまたいい恋愛だと、私は思ってます』








『誰かに想われる恋と、誰かを必死で想う恋、どっちのほうが幸せになれるんだろうな…』









先輩は紗季さんを想って、私に必死に想われている。



私は先輩を必死で想って……誰にも想われないー…







私だって誰かに愛されたい、そう思うー…



でも先輩を想えない人生は私の人生なんかじゃない、と思うー…











『紗希、他に好きな奴が出来たら、迷わずそいつのところに行け。

 もしそいつも紗希を想ってくれるなら、紗希はずっと幸せになるから。

 だから、そういう奴が出来たら、俺なんか捨てて、そいつのところに行け』







先輩を捨てられないことは、


先輩より他の誰かを好きになるなんてこと、


無理なのは私が一番知ってる。









『無理だと思います。

 私、ダメダメな先輩を好きになっちゃいましたから…。

 ダメダメな先輩がきちんと前を向けるようになるまで私、ずっと先輩の傍にいますから。

 先輩がどんなに私に迷惑してても…』








私の言葉に先輩は力なく、フッて笑って見せた。




そして私の体を離し、近くのテーブルに置いてあった鞄を肩にかけ、







『駅まで送る』




その一言を言い、美術室から出ていった。




私も慌てて、鞄を肩にかけ、先輩の後を追った。