動けない私、
先輩は“動かない”と思ったんだろう。
いつも通り、面倒くさそうな顔をして、再び教室の出入り口に顔を出した。
そして、そのまま教室の中に入ってくると、私のところまで来て私の手を引いた。
“紗希”と呼ぶことも、
面倒くさそうな顔を見せることも、
私の手を引くことも、
全部、全部、いつも通りー…
先輩は“私”を呼んだ、
私に面倒くさそうな顔を見せた、
“私の手”を引いた、
そうだよね、先輩?
でも、言葉にして問いかけることはできない。
だから先輩が誰を想っての行動なのか、分からない。
不安が私の心を包んでいく、
それでも私は引かれた手を振りほどくこと、出来ない。
『お前さ、いい加減理解しろよ。
俺に言われたらそれに素直に従ってればいいから』
先輩が引くと同時に、先輩の後に続く形で歩き始めていたー…

