早くなる鼓動をごまかすため、一心不乱に枝豆を食べていたら、一つもなくなってしまった。

手持ちぶさたになった手で、大学に入ってから染めてパーマもかけた髪をいじる。


「俺けっこう本気で言ってるんだけど......」


お酒が入ってるからか照れてるからなのか、顔を赤くしているにっしー。


「私も、本気だよ?」


あれから恋をして大人になって、昔よりも臆病になった私。だけど、いまは傷つくのがこわいとか言ってる場合じゃない。

何度も何度もすれ違った私たち、今度こそ上手くいく気がするんだ。このタイミングでいかなきゃいけない気がするんだよ。

だから、勇気を出して一歩踏み出すから。


髪をいじっていた手をテーブルの下に伸ばして、にっしーの手を握り、それから、にっしーの目を見つめる。


みんなは酔ってるみたいだし、気づかれないでしょ。
気づかれたとしても、別にいいや。


すぐにその手は握り返されて、お酒のせいなのかそれともときめいちゃってるのか、急にからだが熱くなってくる。


「もう俺の彼女だと思ってもいいんだよね?」


一応疑問系だったけど、どこか決定事項のように言われたその言葉。


私の返事は、もちろん決まってる。
何のためらいもなく、私はそれを口にした。



(おわり)