先生の話も終わり、部室に戻ると、朝小野くんが宣言していたようにミーティングが始まった。

今日は一年生やマネージャーも含めて、つまり先生以外の全員で。


「みんなも知っての通り、あさってからは大会が始まる。
今日までにみんなに言いたいことを色々考えてきたけど、......結局何もいい言葉が思い浮かばなかった」


......え。思い浮かばなかったんかい。

私の隣の席で、またがっかり発言をする小野くんに心の中で突っ込みを入れてしまった。

もちろん顔は他のみんな同様に、真剣な表情を保ったまま。


「俺が言いたいことはひとつ。
......ベストを尽くそう」


そこまで言うと、小野くんは一度足元を見てから、ひとつ息をはいてから顔をあげた。


「絶対県大会行きたいんだ。
このチームで、県大会行きたい。
この大会が終わると、後は最後の夏の大会だけだから、このチームで県大会行けるチャンスはもうこれで最後だ。

さっき先生も言ってたけど、俺たち勝つために練習やってきたんだ。
絶対勝ち進んで県大会連れていこう。俺たちの、」


そこで小野くんが言葉を止めると、一瞬だけ彼と目が合った、......ような気がした。