「方向一緒だし、たまには一緒に帰ろうかなーって。
や、あの、深い意味はないんだけど。
と、ところで、今日バレンタインだし、ミッチーはたくさんチョコレートもらったんじゃない?」


ミッチーのパンパンにふくらんだカバンをちらちら見ながら、どうにか軌道修正を試みる私。


「いくつかもらいましたけど......、残念ながら全部義理でした」

「うそだー、絶対ミッチーもてるもん」


演技がかったように大げさにためいきをつくミッチーに、即突っ込みを入れる。


「いや俺本当にモテないんですよ。
彼女募集中ってものすごいアピってるのに、誰も告白してきてくれません」


あー......、そのパターンね。

ミッチーって彼女募集中って言い過ぎて、もうネタみたいになってるし。こんなにかっこいい人が女に困ってるわけないし、冗談で彼女募集中って言いまくってるんだろうって女子から誤解されてるパターン?

なんかミッチーって本気かどうかよく分からないし......。


「ミッチーは彼女募集中って言い過ぎなんだよ。
色んな人に言ってるでしょ?
彼女がほしいのは分かるけど......。
なんかちょっとチャラいみたいに思われてるとか」

「俺チャラくないですよ?今まで一回も浮気とかしたことないですし、付き合ったらめちゃくちゃ大事にするタイプですよ。

今は好きな人もいないし、いい感じの人がいれば付き合いたいなと思って、そうしてるんですけどダメなんですか?」

「ダメではないけど......。私ミッチーと付き合ったことないし、彼女大事にするタイプとか言われても知らないもん」


ミッチーは荷台にカバンを置き、私も自分の自転車のかごにカバンを入れて、サドルに腰かける。


そして、軌道修正しようとしていたらなぜかおかしな方向に話が進んで、唐突に、なぜミッチーに彼女ができないのか討論会が始まった。