「......いこうか、デートの続き、しよう」


相変わらず表情も変えずに、小野くんは私に手を差し出す。


デートじゃないんでしょ?
ヒマだし、予定もないから、二人で遊びにきただけ。


はっきりと、何の迷いもなく、他の女を選ぶとまで言われて。少しもためらわずに私の手を離した。

仮にも二人で遊びにきた私のこと、おいてっちゃうし......。


私に少しでもプライドがあるなら、もうこれ以上傷つきたくないのなら。

ふざけるな行かない、とこの手をとらなけばいい。


ああ、だけど。


「......うん、いく」


いつものように無愛想な顔で、ぶっきらぼうに差し出されたその色黒な手。


私はすぐにその手をとった。
はっきりと、何の迷いもなく。


何度だって心折られても、他の人に心傾いても、やっぱり戻っちゃうんだよ。


振り向いてはくれないってわかってても、この手をとらずにはいられないんだ。