「じゃあ、さほちゃんがさっさとにっしーのことモノにしちゃってよ。そしたら、きがねなくにっしーと話せるから」


部室の隅、みんなが座っているパイプ椅子をどけながら、ほうきで砂ぼこりをかきだしていく。


にっしーに彼女ができると思うとギリギリする、それは本当。けれど逆に、いっそのこと早く彼女作ってくれないかなぁと思っているのも本当だった。

そしたら、すくなくとも今みたいな中途半端な状況にならなくてすむのに......。


「あー、そういうこと言いますー?
今の発言ちょっとイヤミですよ?
ねぇあみ先輩?振るのは仕方ないですよ?
色々ありますもんね。だけど、もうちょっと別のやり方があるんじゃないですか?
西川先輩モチベーション下がっちゃってるみたいですしぃ、さほマネージャーとしても心配ですぅ」

「私だってこんな状況になりたかったわけじゃないよ。
じゃあ、他にどんなやり方があるっていうの?
......教えてよ」


......あ。そんなつもりはなかったのに、ちょっと冷たい言い方になっちゃった。

さほちゃんが悪いわけじゃないのに、さほちゃんに八つ当たりしてどうするんだ。