ふりむいてよキャプテン

「にっしーお昼ごはん食べなくていいの?
一試合目ずっと出てたし、お腹空いてるでしょ?
二試合目だって途中から出るかもだし、早く食べといた方が......」

「いいの。今はこっちの方が大事。
あみの話聞かないと、気になって昼食べられない」


体育館裏に座り込み、冗談っぽくそんなことを言いながら、優しく私の手を握るにっしー。

なんで、こんなにいつも優しくしてくれるんだろう。
今の私の心には、にっしーの優しさが痛いくらいで、うっかり甘えちゃいそうだ。


「......ごめんね、ありがとう。
あのね、私小野くんにフラれたんだ」

「は?マジで?好きだって言ったの?」


目を丸くするにっしーに、好きとは言ってないけどとうなずく。


「うん、そんなようなことは言った。
だけど落ち込んでるのそれじゃなくて、さっきまるちゃんがきてたんだよ。それで......」


思い知った。
まるちゃんにはかなわないんだって。

小野くんの一番近くにいて、一番彼を知っているのは私だってことだけが支えだったけど。

そんなこと、何の意味もなかった。
私なんてただ近くにいるマネージャー、絶対恋愛対象にはなれないマネージャーで。

小野くんの特別はどうがんばったって、まるちゃんなんだ。


小野くんが試合を見てほしいのも、マネージャーの私じゃなくて、まるちゃん。

グラウンドにいる彼の近くだけは、それだけは......きてほしくなかったよ。特別になれなくても、そこだけはゆずりたくなかった。


それは全て、言葉にならなかった。
まるちゃんがきたと、そう口にしただけで、情けないことに泣けてきたから。