ふりむいてよキャプテン

息が、苦しい。
急に私の周りだけ、酸素が薄くなったみたいだ。


なんで......試合見にきたの?
本当は、きてほしくなかった。


クラスも一緒で、部活も一緒。
小野くんと一番一緒にいる女の子は私で、他の女の子が知らないようなことも私は知ってる。

だけど、どんなに近くにいても、どれだけ一緒に過ごしても、私は全く近づけないんだよ。
見てさえもらえないんだよ。


グラウンドでの小野くんを見ることができるのが、たったひとつの私の役目、ここは私の居場所なのに。

どうして、それさえも奪っていくの?


黒いものがどんどん心の中を覆っていく。

さっきだって......心とはまるで別のことをしゃべってないと、このドロドロした心の中身を全部ぶちまけちゃいそうで、必死に取り繕ってた。

何も悪くないまるちゃんに、そんなこと言っちゃダメだって。


嫌だ......、こんなこと考えたくなんかないのに。まるちゃんは悪いとこなんてひとつもないのに......。
試合を見に来るのも、まるちゃんの自由なら、私がそれを嫌だと思う権利なんてない。

それなのに、なんでこんなこと......。


二試合目のメンバー表を握りしめながら、体育教官室へと早足で急ぐ。