「あみは?いないの?
一年の時ににっしーと付き合ってたんだよね?
にっしーいいよね~、なんで別れちゃったの?」

「うーん......、なんか色々......。
にっしーとは友達の方がいいかなって」

「そうなんだ~。野球部に他に気になる人いないの?」

「いやいや、にっしーと付き合ってたからね。
さすがに部内で二人目はいけないでしょ、二人目は。あはは......」


野球部の中に、気になる人?
......いるよ。気になるどころか、一年生の時からずっと大好きな人が。

笑いながらも、私の心の中は張り裂けそうだった。

ちょっと仲のいい女子が会えば、ただの世間話程度に話す話題。それだけのことに、私はもう逃げ出したくてたまらない。


「それは言えてる~。クラスで見つけたら?
戸塚王子とか」

「もーそれ、ゆっちも言ってたけど、無理だからね。私に王子は落とせないって。王子が付き合ってくれるなら、喜んで付き合うけどね?」

「あはは、分かんないよ~?
ねえ今日はいそいでるからもう行かなきゃいけないけど、またあみと語りた~い」

「うんうん、語りたいよね。
じゃあ、私も先生のとこ行かなきゃいけないから、そろそろ行くね。また学校で話そ?」


バイバーイとお互いに手を振って、別々の方向に歩き出す。