「あ、今から部室にくる?
小野くんもいるから」

「え~、いいよ~。あたし部外者だから、部室にはいけないよ」

「そう?じゃあ私が小野くんが呼んでこようか?」

「それもやめとく~。
後でLINEでもしとくよ」


まるちゃんは笑いながらやんわり拒否するけど、せっかく試合見に来てくれたんだし、小野くん会いたいんじゃないかな......。

なんで私こんなとりもつようなことしてるんだろ。本当は会ってほしくなんてないのに。


自分から会うことをすすめておいて、平然とたっていられるのが不思議なくらいに、話していて泣きそうだった。


「でも、小野くん......まるちゃんがきてくれたって知ったら喜ぶと思うけどな」

「んー......、本当にちょっと寄っただけだから。
このあと彼氏と待ち合わせしてるし」


しつこく食い下がる私に、まるちゃんはスポーツバッグを持ち直して困ったように笑う。


「そうなの?前言ってたバレー部の先輩?」

「ううん、先輩とは別れたんだ。
今はバスケ部の人と付き合ってる」


彼氏がいるなら、わざわざ小野くんに会うのは、まるちゃんとしてはちょっと微妙か......。