フラれちゃった......。

もうこらえていた涙がおさえきれなかった。

こんなところで泣いて、迷惑かけるだけだって分かってるのに、それでも涙が止められなかった。

フラれるって分かりきってたことだったのにね。
こんなの、もしもの話とか言って、私の気持ちバレバレだよね。


「......ごめん」


急に地面に黒い影ができたかと思えば、うつむいていた私はその影にぎゅっと抱きしめられた。


好きな人いてもそれでもいいって言っても、バッサリ振ったくせに、待たせてもくれないくせに。

私のことなんて興味もないくせに、どうしてこんなことするんだろう。


きっと、泣いている私に同情してくれたんだ。
こんなことしてくれるのも、きっと最初で最後。

それでも、同情でも嬉しくて、その影にすがりついた。


「なんで謝るの?
もしもの話だよ」

「......分かってる。
宮崎さん、俺たちも先輩たちみたいに県大会いこう。俺が、キャプテンとして絶対連れていくから」


涙まじりの強がりは、今までより力をこめて、強がりごと優しく抱きしめられた。

一人の男の小野くんではなく、野球部のキャプテンによって。


「......うん。......がんばろうね」


やっぱり私たちはキャプテンとマネージャー以上の関係にはなれないんだね。

同情でも、一時でも、決して近づかせてはくれない。

はっきり線をひかれて、ただうなずいた。


明日から気持ち切り替えてマネージャーとしてがんばるから、今だけはこの腕の中にいさせてください。


私には......マネージャーとしてしか小野くんのそばにはいられない。

それしかないってこと、ちゃんと分かってるから。