ふりむいてよキャプテン

「......お前、どういうつもりだよ」


ようやくお姫様抱っこから解放されると、追いかけてきたにっしーが私たちに追いついた。


「どういうつもりって、西川先輩が無理みたいだから俺がしようかなって」


表情を消して無表情になったにっしーに、ミッチーはまったく動じず、やっぱりひょうひょうとしている。


「は?冗談だって分かるよな?
普通こんな場所でしないよ」

「でも、けっこう他にもしてる人たちいますよ?」


回りを見渡せば、確かにカップルと思わしき人たちがお互いの体の距離ないんじゃないかってくらいに密着している。


「だからって......。
それくらい、俺だってできるからな!」


対抗して、私を抱き上げようとしてきたにっしーの手を慌てて止めた。さすがにこんな公共の場で二回連続お姫様抱っこは恥ずかしすぎる。


「に、にっしー!そんなとこで張り合わなくていいから!恥ずかしいから!

ほら、ミッチーってちょっと天然なんだよ。
冗談も真に受けちゃうタイプっていうか」


先輩に何回も同じサイン出しちゃうのも、天然だから。
ナチュラルにセクハラしちゃうのも、天然だから。
冗談を真に受けちゃうのも、天然だから。

そうだよ、ミッチーは天然なんだ......と、思いたい。


そうじゃなくて、冗談って分かっててあえて空気読まないでやってきてたら恐ろしすぎるし。


そんな計算ずくで腹黒のミッチーなんて......、それはそれで悪くない。

とことんミッチーに甘い私は、結局どんなミッチーでも許しちゃうのかも。