「あ、そうだ。今度のオフってヒマ?」


え!?まさかの、突然のデートの誘い?
まさかの誘いに、うつむいていた顔をぱっと上げる。


「今度のオフって、夏休み最後の三日間だよね?
い、いつでもヒマだよ」


というか、予定あっても全部キャンセルするけど。


それだけ言うと、なんだか小野くんの顔が見れなくて、私はまたうつむく。


「そう、良かった。
いつき先輩が、みんなでプールでもいこうって。
伊藤さんも誘っといて」

「......分かった。
さほちゃんも誘っとくね」


......そうだよね、デートの誘いなわけないか。
なにぬか喜びしてるんだろう私。

相手にも、されてないのに。
期待なんかしたって無駄だよ。

小野くんが気づいてるのか気づいてないのか分からないけど、どっちにしたって小野くんは私に興味ないんだから。


部室近くの草むらに入って、さらに小さな虫がまとわりついてきたのをイライラしながら振り払った。