ふりむいてよキャプテン

「にっしーが緊張するなんてめずらしいね」


去年の夏、三年生が引退してからは即レギュラー入りして、一年生からずっとレギュラーだったにっしー。

ピッチャーのヒロくんや本田くんは一軍の試合に出ることもあるし、レギュラーの先輩がケガをしたときに誰かが代わりに出ることはあっても、私たちの学年でずっとレギュラーでやってきたのはにっしーだけだ。


先輩たちばかりのチームでも特に気負っている様子もなく、県大会に行った時も緊張よりも楽しんでいるといった風で、緊張からは一番遠い人だと思ってたけど......。


「俺だって緊張くらいするよ......。
それに、今日の試合は......」


背番号を縫い付けている私の隣で、にっしーはため息をつく。最後まで言わなくても、にっしーが何を言いたいのか分かってしまった。


「......うん、そうだね」


そのとき聞こえてきたのは、またホームランでも打ったのか、私たちのいる一塁側控え室にも聞こえる一塁側ベンチの大歓声。

というよりも、ずっと一塁側ベンチは湧きっぱなしだ。