「だ、だよね!
本気でミッチーのこと狙っちゃおっかなぁー。

に、にっしーはどうなの?同じクラスに気になる人とかいないの?」

「お、俺?
まだ一週間だから何とも言えないけど、みかちゃんとか江口さんとか?可愛いかなって」


横断歩道を渡るにっしーを追いかけながら、早口で言葉を続ける私に、棒読みのにっしー。


「みかちゃんと江口さんかぁ、可愛いよね。
じゃあじゃあ、さほちゃんとしずかちゃんは?
どっちがタイプ?」


相変わらず早口のまま、なぜか口が閉じられず。
まだ体験入部だけど、二人入ってきた一年生のマネージャーの名前を出す。


「さほちゃんとしずかちゃんね、レベル高いよね。
どっちもって言いたいけど、どっちかと言えばしずかちゃん?」

「そーなんだ。

......あ、にっしーさっきのとこ曲がるんじゃないの?
通り過ぎちゃったよ」


お互いに相手の顔も見ずに早口で話し続けていたら、いつのまにかいつもの分かれ道を過ぎていた。

あわてて自転車を止めてにっしーを見ると、目があって、また気まずい雰囲気。