ふりむいてよキャプテン

今は晴れているものの、明け方まで雪が降っていたため、まだグラウンドがぬかるんでいる。

冬には多いこういう日は、ノックができるほどグラウンド状態はよくないけれど、全く使えないというわけじゃない。


こんな日でもグラウンドでできることはいくつかある。

たとえば、トスをあげる人、バッティング練習する人、二人一組でTバッティングとか。


グラウンド組と体育館組と二つに別れて練習する中、私は部室の掃除中。


......いまなら誰もいない。
よ、よし。


部室に誰もいなくなると、いったん掃除をする手をとめて、自分のカバンからガトーショコラのホールを取り出す。

そして、隣の席の小野くんのあけっぱなしの部活バックに勝手にそれをつっこんだ。

自分の名前と好きですと一言だけ書いたクマのメモ用紙をそえて。


「宮崎」

「は、はいっ!」


まさに今、ひとしごと終えた後に、高田先生が部室に入ってきた。


無駄に大きな声を出しながら、小野くんのカバンのチャックをしめる。

と、仁王立ちして私を見下ろす高田先生。


ば、ばれてないよね?