「前もいったけど、俺マサと上手くいくように応援してるから。なんならマサじゃなくてもいいけど......、本田とかどう?」

「タイプじゃない」


私を和ませようとしたのか冗談を言うにっしーにつられて私も笑顔になって、それからひとつ呼吸をおいた。


「ねえ、じゃあ、さ。
にっしーも好きなこできたら教えてね。
絶対、応援するから」


初めての彼氏で、初めてキスをした。
にっしーにとっても、私は初めての彼女で。

にっしーを苦しめて、あんな別れかたをしてしまったけど、初めての彼氏がにっしーで良かったと思ってる。


にっしーは、どんな気持ちで応援すると言ってくれたんだろう。

私は、にっしーにいつか他に彼女ができると思うと、実はほんのすこしだけ複雑なんだけど、だけど私にはそんなことを言う資格はないから。


「......うん」


小野くんが好き、それは間違いない。
私の好きな人は確実に小野くんだ。

それなのに、うつむくにっしーに胸がしめつけられる。


......痛いよ、なんだかよく分からないけど胸が痛い。

ロマンチックなこともなにひとつない、ただひたすら寒くて痛いだけのクリスマスイブ。