「ちょっと待ってよ、俺らが話してんだけど?
マネージャーちゃんも三打席連続三振の小野くんより、今日のMVPの俺のほうがいいでしょ?」


絶対に小野くんの方がいい、というかそれ以前に誰が誰だか分からない。

だけど、そんなあおるようないいかた......。


「ありがとうございました!」

「......は?」


あおりに応じないのまでは予想の範囲内だとしても、さすかにこれは予想していなかった。


突然大きな声でお礼を言う全く予想外の行動に出た小野くんに首をかしげてしまったのは、私を含めその場にいる全員だ。


「今日の試合、勉強になりました!
機会があればまたよろしくおねがいします!」

「お、おう......、よろしくな......」


予測できないななめうえをいく小野くんの行動に完全に毒気を抜かれた工業高校部員をその場に残し、手をひかれて私もその輪から抜けだす。