「はさみないよね?ちょっと借りてくるね」


まるちゃんは、作業に必要なはさみを男子たちのところに借りにいった。


それを目で追うと、何か言ったまるちゃんにぎこちなく笑ってはさみを渡す小野くん。


まるちゃんにとっては、たまにメールとかやりとりするかもしれないけど、小野くんはただのクラスメイトだ。


だけど、小野くんにとってはそうじゃなくて。
こんなちょっとのやりとりで嬉しいんだろうな、とか色々考えてしまう。


べつに二人が付き合ってるわけでも、仲良く話してるわけでもないのに、複雑な気持ちになる......。

いっそのこと付き合ってくれた方がまだ良かった。


まるで相手にされてないのに、それでも好きでいるのって、よっぽど好きだってことだと思うから。


......あ。
そこまで考えて自分も同じだということに気づく。

私、やっぱり......。