だって、にっしーとキスする一秒前まで違う人のことを考えていたから。


私、ひどい女なんだよ。
デートの最中に違う人のこと考えるし。
試合の時に、にっしーよりも違う人のこと目で追ってたりする、し。


こんな女なのに、どうしてそこまで優しくしてくれるの?
全然にっしーに好かれる資格なんてないよ。


にっしーが、彼女ほしいから誰でもいいからとりあえず付き合っとくか、ぐらいの軽い気持ちなら良かった。

そうじゃないから、にっしーは申し訳ないくらいに私のことを大切にしてくれるから。


それに応えられない自分に罪悪感でいっぱいになるんだよ。



「そか。嫌だったら遠慮なく言って、な?」



少し遠慮がちに握り返されたその手を、私は強く強く握りしめた。


こんな気持ちどっか言っちゃえ、って。
モヤモヤした気持ちと、腹立たしい自分を握りつぶすように。