「ごめん!」


観覧車を出たあとも、無言でうつむき、彼と距離をおく私にかけよるにっしー。


「なにが......?」



いったい何を謝ることがあるのか。

謝らなきゃいけないのは、
謝ることがたくさんありすぎるのは、
私の方だというのに。



「さっきの。......嫌だった?
嫌だったら、もうしないから。嫌がることしたくないし」


「嫌なわけ......ないよ」



そっと離れていたにっしーの手をとる。


嫌じゃなかった、これは本当。

今日だってにっしーと一緒にいて楽しかった。
手を繋ぐのも全然嫌じゃないし、さっきの......キスだって嫌だとは思わなかった。


でもね、にっしーにそうやって謝られるたびに、気を使われるたびに、優しくされるたびに、どうしようもなく辛くなるんだよ。

自分のことを殴りたくなるくらいに、自己嫌悪に陥る。