「うん、分かってるよ?
いまさら、にっしーを裏切れないし。
それに、もともと望みないもん」


「ううん、そうじゃなくて。
にっしーとか、小野くんに彼女作る気がないとかは全部置いておくとしても、だよ」



全部置いておくって、その二つが一番重要なんだけど......。

ふざけてるわけでもなく真顔のゆっちに、じゃあなにと少し強めに聞いた。



「小野くんって、付き合っても何しゃべっていいか分からないじゃん」

「え......?
確かにしゃべることないけど、さ。
なに、その理由」



ゆっちが何を言いたいのか全く分からなくて、なんだか気の抜けたような声が出てしまった。

そんな私の顔をちらりと見てから、次に教室の方に目をやるゆっち。


「あのさぁ、あみが小野くんをいいって言うのも分かるよ?
だって小野くんって、他の男子と違って硬派な感じで、ちょっとイケてるじゃん?」


やめろと言ったかと思えば、今度は誉め出した。

相変わらず何を言いたいのか分からないけれど、今は口をはさまずに黙ってゆっちの話を聞く。