ピッチャーって、一試合で投球数100球超えることもある重労働だし、本当にプレッシャーのかかるポジションだ。

気弱ではとてもやっていけないし、ヒロくんぐらい性格悪くてちょうどいいのかもしれない。


そのヒロくんでさえ......。



「ボール」



きわどいところでまたボールにされ、ヒロくんはいらだったようにマウンドをけり、ひたいの汗をぬぐう。

それから、バッターに向かって投げずに、一塁へと牽制球を投げる。


「セーフ」


自分がフォアボールで出したランナーがそんなに気になるのか、ヒロくんはさっきから牽制ばかりを繰り返している。



「そんなにリードしてねぇだろ......」



足を組み、腕を組んだままの先生がぼやくように、とてもタッチアウトにできる距離でもない。

盗塁しそうにも思えないけど......。



この回、先頭打者を三振させたのはいいけれど、次のバッターでデッドボールを出してしまい、そこからなかなかストライクが入らない。