王様とうさぎさん

「あれは何が楽しいのかわからない。

 疲れるばっかりだ」

 案の定、そう言ってきた。

「私は貴方がコンパに行ったことがあるのに驚きましたよ」

 自ら進んでいくようには見えないから、誰かに引きずられて行ったのだろう。

 恐らく、人数合わせに。

 いや、見た目は悪くないから、誰かが彼を餌にコンパを組んだのかもしれない。

 正直言って、さっきから困っていた。

 店内の女性客が彼をちらちらと盗み見ている。

 そして、こちらにはあまり嬉しくない視線を送ってくれる。

 いや……あの、別に私は彼女でもなんでもないし。

 嫉妬される覚えはない。

 それにしても、みんな、どうして、こんな簡単に見てくれに騙されるんだ、と思っていた。

「俺と結婚したら、その面倒臭いコンパに顔を出さなくてもよくなるんだぞ。

 同窓会とかも」

 そんな允の言葉に、いや、それは偏見だろう、と思う。

 コンパが面倒臭いのには同意するが、同窓会は関係ないはずだ。

 確かに、年齢的に、出逢いの場になりつつあるのは確かだが。